4.2GHzを突破させたダイアモンドグリス


数年前T・ZONEの3Fで「これ冷えるらしいですよ」と聞いてainexの99.9%の純銀グリスを試してみたら本当に5度位温度が下がって驚いた
それ以来これを使い続けてきたが、注意書きにある「最高の性能を発揮するには200時間ほどかかります」は実感としてなかった。

今回水冷を組みなおすにあたってお客様より「カツ入れしてでもクロックを上げてほしい」との依頼があり
単に電圧を上げても駄目なことは分かっていたし水冷でも散々試した後だったので「久々に新しいグリスを試そう」と集めてみた

以前から気になっていた『液体金属』『セラミック』『他社製シルバーグリス』『新型シリコングリス』を試そうとグリスを探していると
親和産業『ダイアモンド7カラットグリス』というのを見つけて、『ダイアモンド??』と思いながらも、面白半分で買ってみた

各グリスごとに熱伝導率を表記しているが通常は高性能品でも5〜9W/mK程度なのだがダイアモンドグリスは2500W/mKとケタ違いの数値が記されている
まぁこの手の表記はキャッチフレーズだと期待もせず試してみるとやはり別段冷えるという感じではなかった

翌朝テストの続きを行おうと水冷ヘッドを触ると何やらCPUへの食い付きが違うのに気づく、固く強く吸いついている感じだ
電源を入れてみると昨日よりCPUは10度近く低くなっていて水冷ヘッドがいつもより熱く水温も上がっていることを発見する

ネハレムに代わって以来あまり効果がないと思っていた『喝入れ』を行うと4.8GHzでも立ち上がるので驚く
結果としては4.6GHzあたりで一通りのベンチマークをクリアし、新たなグリスとの出会いを福音の様に感じた次第であった

よく雑誌でグリスの比較記事を見かけるがどの程度の時間をかけてテストしているかはわからない
もし一日でいろんなグリスを使い分けてテストしているとしたら本当の実力テストにはなっていないのだと思った
グリスには塗った直後から力を出すものと数日後より力を出すものの二種類があるようだ
通常パソコンは毎日CPUを交換したりしないからグリスも塗って数日後のテストで判断することが大切なのだと知る

親和産業の『INNOVATION COOLING ダイアモンド7カラット 熱伝導グリス』は試す価値のあるものとお勧めする

今回試したものはどれも優秀でシリコンでもシルバー並の力を出すところまで進化している
塗っている感触だとセラミックにもなにやら可能性を感じる

しかし『液体金属だけは手を出さない方がいい』これは僕の経験の問題かもしれないが
昔の体温計を割った水銀の様なグリスは少しでも油分があると玉状になり転がり細かく分裂しあらゆるところに忍び込む
コンデンサーの足やらCPUの固定具周りの隙間や奥に入り込んだが最後取り除くのはかなりの苦労を必要とする
金属なので知らずに電源を入れれば瞬間にマザーボードやCPUは昇天することとなるだろう

最近のCPUはあまり熱くならないうえにヒートパイプや放熱ヒィンを贅沢に装備したクーラーのおかげで空冷4GHzも楽勝の気配だが(LGA1366)
一方で水冷にしても抑え込めないほどの高クロックを必要とするNCの計算PC等では最新のグリスは効くという発見をした

山中潤